京都に移り住んで間も無く10年が経ちます。
あらためてそのことに気付かされたのは、少し前に我が家に5回目の契約更新のお知らせが届いたからです。
思えばこの10年間、何の疑いもなく更新料を納めてきました。
いまのところ無収入のセミリタイア生活は、さして贅沢はしていないものの、虎の子は減るばかり。
ここはひとつ家賃の減額交渉でもしてみようかと、あちこち調べて見ました。
当然交渉ごとですから、賃料を下げてもらうなりの根拠が必要です。
家賃相場
まずは周辺の同じ間取り、建物構造、立地条件(駅からの距離や施設など)の似かよった物件の家賃相場を物件情報サイトで調べます。
今回調べたところ、周辺の相場にあまり違いはありませんでした。
当該物件の家賃相場
集合住宅の場合、忘れてはならないのが、自分が住んでいる住宅の他の部屋との家賃相場も調べる事です。
一般的に間取りが広く、上層階ほど賃料が高くなる傾向ですが、特に築年数が経過していると、リフォーム済みの部屋が割り増しになったり、空室を埋めるために値引きされたりと、個々の部屋の条件が変わってきます。実際に、今回調べてみると1万円の開きがありました。
入居時からの環境の変化
長く住めば、そこかしこが傷んできます。
若いころは仕事の都合で毎年のように引っ越しを繰り返していましたから、大掃除をするまでもなく、クリーニング済みの次の住まいに移れました。
さすがに10年もすむと、クロスや床材がめくれたり、換気扇の音が大きくなったり、床のきしみが気になったりと部屋の価値が下がってくるものです。
ちなみに我が家では直近2年以内に、台所の換気扇、風呂・トイレの換気扇の交換とベランダの網戸2枚の張替えを全額オーナー負担で済ませてもらっています。
残念なのは、以前はベランダから東寺の五重塔がよく見えていたのですが、隣接する物件の新築で見えなくなってしまったことくらいです。
要するに、あまりこれといった交渉材料がないということですね。。。
交渉の時期
ちなみに、3月は不動産屋の繁忙期。本来ならゴールデンウィーク明けくらいが適切な時期なのでしょうが、5月に契約更新なので、これも致し方ありません。
それでもダメもと、思い切って「家賃減額のお願い」をしたためます。
こういうときは少し高めのボールを投げるものだとは、何で記憶したものだったでしょうか、あわや暴投の1万円減額のお願いです。
直接出向いたり、電話で交渉するほどの度胸もなく、オーナーさん宛に郵送しました。
参考書面
家賃減額のお願い
時下益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。
いつも快適に住まわせて頂き感謝しております。
さて、ご承知のとおり、私は、貴殿より、下記建物を居住目的、賃料1ヶ月◯◯◯円(共益費込み)で賃借しております。
しかしながら、当初の契約から10年が経過しましたが、その間一度も家賃改定が行われておらず、現在の賃料が不相当であると判断するに至りました。
したがいまして、次回更新より、賃料1ヶ月あたり金◯◯◯円(共益費込み)に減額して頂きたく、本書面にてお願い申し上げます。
記
(物件の表示)
××××××××××××××××××号室
といった感じです。
程なく、オーナーさんから返信がありました。
家賃減額のお願いに対するご回答
中略
弊社といたしましては、引き続き貴殿との更新を望んでおります。
中略
現在の家賃が、経済事情の変動や近傍同種の建物の家賃と比較して、直ちに減額しなければならないほど不相当になったとは思われないため、貴殿からの減額のご要望には残念ながら応じかねます。
中略
もっとも、長年にわたり貴殿から下記物件をお借りいただいていることを踏まえ、1ヶ月あたり金5,000円の減額とする限りにおいて、ご要望に応じることは可能です。
以下省略
なんて素敵なオーナーさん!
封書1通で年間6万円の減額を了承していただきました。
早速契約更新の意思表示とお礼をしたためます。
契約更新の件にて
拝復
お手紙拝見しました。
この度はご無理なお願いを申し上げたにもかかわらず、お家賃についてはご配慮をいただき、誠にありがとうございます。本来であれば、直接にご挨拶方々、お礼を申し上げるべきところですが、まずは略儀ながら書中をもちましてお礼申し上げます。
貴殿よりご提示を頂きました通り、次回の契約更新以降の賃料につき、1ヶ月あたり◯◯◯円、共益費につき1ヶ月◯◯◯円にて、契約を更新させていただきたく。
今後もお部屋を大切に使わせて頂きますので、末永いお付き合いのほど、よろしくお願いいたします。
敬具
おわりに
ビジネスでは色々な交渉をしてきましたが、会社の看板を盾にしてきたことばかりです。実生活の場面での交渉はやはり肌感覚が違うものです。それは責任感の重さの違いというようなことではなく、一人で交渉に臨むということです。
引続き50代プログラマー志望の求職活動中ですが、
いずれにしても最終的には独立やフリーランスの道を選ぶ予感がしています。様々な交渉や決断を迫られることでしょう。
その時にために、日頃から相応の知識・技術・肌感覚を身に付けたいものです。
送られてきた契約書になかなか向き合えずにいます。保証委託契約を交わしているので、何も気後れすることもないのですが、勤務先の欄にいまのところ書けることがないのが、少し照れるなぁ。。。